オーストリア出身の伝説のポップスター、ファルコ。その再来とも言われる人気急上昇中のバンドが、オーストリア訛りのドイツ語で“愛”を歌うワンダだ

80年代に世界中に旋風を巻き起こしたウィーン出身のファルコ(Falco)。1985年に発表された彼の『ロック・ミー・アマデウス』は、非英語圏のアーティストのランクインが難しいアメリカのビルボードホット100でも1位を記録した。

ファルコの大ヒット曲『ロック・ミー・アマデウス』。ドイツ語と英語が入り交じる歌詞をラップ調に歌ったスタイルは、センセーショナルだった。

しかしその後、ファルコがこれを越えるヒット曲に恵まれることもなく、彼は1996年にドミニカ共和国へ移住。翌々年の98年に同国内で交通事故に遭い、40歳の若さでこの世を去った。

ファルコ以降、アウストロポップ(オーストリア発のポップミュージックの意)界は低迷し続けていたが、最近、期待の新星が突如として現れた。

ワンダの名を広めたデビュー曲『Auseinandergehen ist schwer』。ファーストアルバム『Amore』(イタリア語で愛を意味する)にも収録されている

2012年にオーストリア・ウィーンで結成されたワンダ(Wanda)。バンド名の由来でもあるフロントマンのマルコ・ミハエル・ワンダが作詞と作曲を担当している。当バンド楽曲のテーマは、“愛”。情熱的な歌詞と往年のファルコを彷彿させるレトロ調の楽曲がうまく調和している。

YouTubeの再生回数が300万回に迫るセカンドシングル『Bologna』

ドイツの音楽誌『Musikexpress』でも「今世代でおそらく最後となる重要なオーストリアバンド」と評されたワンダ。ニューアルバム『Bussi』は、10月に発売予定。オーストリアドイツ語で「軽いキス」を意味するタイトルから察するに、彼らのテーマ“愛”をより追求した一枚になっているのではないだろうか。