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河内秀子

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出典: © 河内秀子

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 15

いよいよEU加盟国28カ国で一斉に行われる欧州議会選挙選挙。今回は、ベルリンに散りばめられた各政党のポスターから、スローガンの言葉選びと、そこから滲み出る各政党の姿勢に注目してみました! 政治への参加意識が高いと言われるドイツですが、実のところこれまで欧州議会選挙は割と、どうでもいい感が漂ってる選挙だったんです。参加率はだだ下がりで、前回などは半数割れ。 ところが、今回は別。欧州連合に懐疑的な人も増え、反EU的な政党が力を伸ばし、結びつきがかなり弱まっているので、これまでにない高い関心が寄せられています。 ●AfD ドイツのためのもうひとつの選択 „EURABIA“ ユーラビア 選挙のたびに、煽って炎上させてなんぼのスタイルで、注目を集める右派ポピュリスト政党「AfD」。今回の欧州議会選挙の大きな争点の一つが、移民・難民問題ですが、今回もここを煽れば食いつくと言わんばかりのポスター。 「ヨーロッパが「ユーラビア」にならないように(AfDを選ぼう!)」というスローガン。 この「ユーラビア」という言葉は、ウトヤ島で銃を乱射、そして時限爆弾で、77人の命を奪ったテロ事件の犯人が使った言葉でもありますが、ユーロ+アラビアの造語で、このまま放っておくとヨーロッパがイスラム化する、欧州文明がイスラムに滅ぼされてしまうと、外国人排斥を煽る言葉でもあります。 しかもこの「裸の女性が奴隷市場でターバンを被った男性に売られる」モチーフ選び。どう見ても悪意しか感じられません。 https://twitter.com/berlinbau/status/908821292459134976 女性の裸で人目を引きたかっただけじゃないかという指摘の記事もあり。女性差別もいいとこです。そういえば、AfDは前回のベルリン市議選で「ブルカ?ビキニの方が好きだな」というビキニ姿の女性のポスターも作っていました。 ●CDU キリスト教民主同盟 „STARK“ 強い ポスターの言葉遣いだけをみていると、上記の右派ポピュリスト政党AfDとたいして変わらないのではないか……という指摘をされたこともある、ドイツ与党のCDUです。 「強い」ヨーロッパ 「安全な」ヨーロッパ 私たちの「故郷」 「私たちのヨーロッパは、豊かさを作る」など、銀行や保険関係者、富裕層が多いと言われる支持層にアピールしています。 「悪い外国人によってドイツが安全ではなくなっているけど、大丈夫ですよ。強固に、豊かな欧州を取り戻しましょう!」と言っているような、なんとなく居心地の悪い印象を受けるのは私だけでしょうか……? と思っていたら、1991年のCDUポスターがネット上に出回って話題になっておりました。 「これが1991年のCDU公式ポスターだ」 スローガンは、「難民の悪用を終わらせろ!」 (4万人の難民書類を処理。見せかけの難民を徹底的に追放。ドイツ基本法の変更) ●Bündnis 90/Die Grünen 同盟90/緑の党 „MUT“ 勇気 アンケートや世論調査などを見る限り、今回飛躍しそうな雰囲気の緑の党も、今回は「強い」路線。 わざと、これまで右派が使っていた言葉を選んでいるように感じました。 例えば「Mut 勇気」は、前述のAfDが好んで使っている言葉で、これまでも「ドイツへの勇気を!」「真実への勇気を!」というポスターがありました。 それを逆手にとって「勇気が出れば、憎しみがひっこむ」とか「勇気ある社会は不安を煽らない」。 「stark 強い」も「社会的なヨーロッパだけが強いヨーロッパ」と、「結びつき」に重点を置いてアピール。強さでも、力の強さといより心の強さを感じさせる言葉選びをしています。 ●Die PARTEI あの政党 „IRGENDWAS“ なにか 毎回クスッと笑える言葉が踊る「あの政党」こと「ディー・パータイ」のポスター。 2004年に、風刺作家でジャーナリストでもあるマーティン・ゾンネボルン (Martin Sonneborn) をはじめ、風刺雑誌の編集部が立ち上げた政党で、2014年から欧州議会に議席も持っているのです。 今回は「IRGENDWAS なにか」と書いたポスターを見かけてびっくり。 まあポスターには「何か」が書いてあればいいんですけどね(笑) 欧州議会選挙への興味の薄さをチクリと皮肉って、投票を呼びかけます。 カフェ・ケーキ・気候「“あの政党"を選ぼう。ヨーロッパにはあれで十分だ」と。 ●Die Linke 左派党 „REICHTUM“ 富 「富」 「儲け」 「コンツェルン」 に対抗しよう! 文字を大きく使ったグラフィックでアピールするのは、左派です。 「教育、バスと鉄道にもっとお金を!富を公正に分けよう」 貧しい人の立場に立ち、ほんの少数の人間が富を独占する世界の不平等。すごいスピードで広がっていく格差を批判する姿勢は変わりません。 ●SPD ドイツ社会民主党  „ZUSAMMEN“ 一緒に 今回、イメージ広告のようなふんわりぼんやりした感じだったのが、SPDです。アピールしているのは「ZUSAMMEN」一緒に、という言葉。 でもいまいち具体的な党の姿勢が見えてこない。低迷する政党の姿勢がポスターにも現れているようです。 余談ですが、桜が咲く頃、美しい桜並木を見ていたらその真ん中にドーンと「気候保護」と書かれた、SPDのポスターが。 写真を撮っていたら、通りがかりの人が「やっと春が来て緑と桜が綺麗になったと思ったのに、こんなど真ん中にポスターを立てて!気候とか環境保護とか言って、こんなことやるんだから!だからSPDは!!」と怒りをぶちまけて行きました。 さあ、気になる欧州議会の結果はどうなるでしょうか。 選挙結果を受けて、今後また反EUの動きが高まって行くのか。選挙権のない私ですが、固唾を飲んで結果を待ちたいと思います。 執筆者:河内秀子 東京都出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』や『料理通信』、『Young Germany』『Think the...
出典: © 河内秀子

ドイツを代表する駄菓子といえば?!

「ドイツを代表する駄菓子」といえば?! ハリボのグミ!でしょう! ドイツ国民一人頭の年間消費量は約6kg弱で、チョコレートやクッキー類に次いで人気のお菓子。1年間で6kg、1日換算で16g。案外大した量じゃないな、と思ったあなたは、多分ドイツのグミにどっぷりハマっているのかもしれません。 ちなみに私も、渡独してからほぼ毎日ハリボのグミを1袋(200g)ほど消費しており、しまいに医者にかかって栄養失調と診断されたことがあります……。美味しいですが、何事もほどほどが重要ですね。 ●ドイツ駄菓子界のスター さて、ドイツ駄菓子界におけるグミの地位は非常に高い。まず驚くのがスーパーのグミコーナーの充実度です。店によってはお菓子コーナーの半分くらいがグミで、入り口近くにあったりするので、グミを見ずに通り過ぎるのは至難の技だったりします。デパートでは量り売りが充実していて、袋物にはない大型のグミが手に入ります。ドイツにおけるコンビニ的存在の深夜営業のお店やガソリンスタンドにも必ず数種類のグミがありますし、見本市に行けば会社のロゴが入った小袋を配られ、ホテルの枕の上や、銀行の窓口、ツーリストインフォメーションなど、ドイツでは、ありとあらゆる場所にグミが存在するのです。 ●ハリボは、2020年に創業100周年! 実はゼラチンを使ったグミキャンディーの発祥地はドイツではなく、イギリスという説が濃厚ですが(20世紀初頭、鉄道旅行の際に気軽に携帯できるお菓子をと開発されたらしい)ドイツで一番早くグミキャンディーを作ったのは「ハリボ」さん。 学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 13 でも取り上げましたが、ハンス・リーゲルさんが西ドイツ、ボンで始めた、HA(ns) RI(egel) BO(nn) ハ・リ・ボ、創業は1920年です。そう、ハリボは来年が創業100周年!!! 90周年の際には、これまでの歴史的なパッケージを復刻した限定版が販売されたのですが、100周年にはどんなプロジェクトが行われるのか……まだ秘密だそうです。 ●金熊グミ 毎年のように登場する新作を含め、20種類以上が存在するハリボのグミ。中でも最も人気があるのがゴールデンベアー、熊の形をしたフルーツグミです。 その歴史は古く、創業2年目の1922年に遡ります。当時人気だった「踊る熊」というアトラクションからアイデアを得たハンス・リーゲルさんが、踊る熊をかたどったグミを作ったのが始まりです。 いまも首にリボンを巻いたハリボの金熊くん(黄色いですが)は、時代の変化とともに少しずつマイナーチェンジしつつも、さまざまなパッケージに登場する「ハリボの顔」、マスコット的な存在として活躍しています。 最近では、シュガーレスのフルーティーなタイプが人気のよう。 ●ハリボくん 金熊くんと並んで、パッケージに登場することもあるのがおかっぱ頭の少年、ハリボくん。黒髪のせいか、ドイツでは主に真っ黒なグミ、ラクリッツ(リコリス)のパッケージに登場することが多く、いまいち影が薄い彼なのですが、隣国フランスではロゴからして彼がメインで、しかもちょっと顔が今風?に立体的にアレンジされていたりするのが興味深いです。 ドイツのハリボグッズは金熊くんメインですが、フランスではハリボくんのものも色々揃っています。こういった国ごとの違いが面白くて、ほかの国に行くとついスーパーのグミチェックをしてしまいますが、各国で味、形、サイズなど、ドイツにはないハリボ・グミが色々見つかって面白いです。 トルコにはまだ行ったことがないですが、ベルリンのトルコ食材店では、ちゃんとイスラム法に準じたハラールのグミが売っています!(ゼラチンは豚から取れるので、ゼラチン不使用のもの) ●イースターのうさぎグミ カーニバルが終わると、ドイツはイースター商戦一色。(今年は4月18日から22日まで)スーパーマーケットにもイースターエッグや卵型のチョコレートなどがズラリと並びますが、もちろんグミもイースター限定版が登場します! 以前は、HARIBOゴールドベアーグミの熊が、味もそのまま形がうさぎに入れ代わったの「ゴールヘースヒェン(金ウサギ)」や、イースターエッグやラッパズイセンなどを象った凝った形のものを出していたのですが(2007年のイースターグミレポート)いまは、卵型のジェリービーンズなどがメイン。今年はひよこと卵の形のグミを入れた新作が出ているようです。 ●ハリボさんのよくわからないデザインセンス しかし、毎年のように新作を生み出すハリボ。そのデザインチームは一体どういう風に仕事をしているのでしょうか。ハリボ社へ直接問い合わせてみたのですが、残念ながらこれについての回答は得られず。手堅い売れ線(クマやコーラ)などを少しずつ変えるだけではなく、突然どぎついジョークを形にしたグミが出たり、やたらと凝った形のものが出たり。誰がデザインし、どうやって商品化への決定が下されているのか……商品の背景がとても気になります。 例えば、お尻型のマシュマロのグミに、カラフルなフルーツグミの耳がついた"A... mit Ohren“ (『Arschloch ケツの穴』という人を罵倒する言葉がありますが、それと意味はほぼ同じ『あいつは尻に耳がついたような奴』)を立体化したジョークグミ。これが650g入りのバケツに入っている様子は壮観でしたが、2010年前後に姿を消しました。 W杯やUEFA欧州選手権のたびに店頭に並ぶ、ハリボくんが大活躍のサッカーグミや、空港のショップメインで展開しているドイツの観光名所を象ったグミ「HAPPY GERMANY」などは、細部まで凝った作りで、ほかのグミより作るのが大変なんじゃないか?いったいどこまで細部をデフォルメするか?など、グミのデザイナーはほかのお菓子にはありえない、様々な問題にぶつかるのではないかと思うのです。 しかしドイツのグミは季節限定商品もいわゆる「旬の食材のお味」というものはなく、味はいつもとほぼ同じ。日本人としては、白アスパラガス味とかクリスマスのスパイス入りとか作ればいいのにと思うのですが、その点は全くブレがありません。あくまでも、見た目で味わう、繊細な味の違いなどは全く眼中にない、まさに駄菓子らしいお菓子と言えるのです。 執筆者:河内秀子 東京都出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』や『料理通信』、『Young Germany』『Think the Earth』『Newsweek for WOMAN 』などでもベルリンやドイツの情報を日本へ向けて発信させていただいています。 Twitterで『#日々是独日』ドイツの風景をほぼ毎日アップしています。いまの興味は『#何故ドイツではケーキにフォークを横刺しにするのか問題』。美味しくてフォークを刺してあるケーキを探し歩く毎日です。HPもご覧ください。
出典: © Hideko Kawachi

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 14

ドイツ語のテキストを英語に直すと、単語の量は多いのに、5分の1短い文章になるとか……。ドイツ語は長い!そして、その長さに比例して、略語も豊富。今回は、「素晴らしきドイツ略語の世界 Die fabelhafte Welt der Abk.」第2弾です! 第1弾ではHARIBO、Adidas、ALDI、BMWと知名度の高い略語をご紹介しましたが、今回は少しマニアックに、DDRこと旧東ドイツで使われていた略語や、近年流行中のSNS略語などを写真をたっぷり掲載させながら見ていきたいと思います! まずはDDR! 東ドイツの話に耳を傾けていると、この国独自の施設や部署の略語などが次々出てきて、聞き直すと、案外話している本人すらもちゃんとわかってなかったりして、めくるめく略語のラビリンスへと迷い込んでいってしまうのですが……、耳にする頻度が最も高い略語というと、これでしょうか。 ●VEB VolksEigener Betrieb ファウエーベー、旧東ドイツの「国営企業」のことです。 ベルリンの可愛いビールコースターに踊るVEB、「国営企業ベルリン飲料コンビナート」! ライプツィヒには、有名な「国営企業グルメ食品・ライプツィヒ」の看板なんかがあります。旧東ドイツ地区を歩いていると、いまも時々VEBの文字が目に入ってきます。 ベルリンにはVEB Orange という店名のDDR雑貨の専門店があったり! ライプツィヒで見かけたこちらは、VM。VolksEigene Möbelkombinate 国有家具コンビナート。似てるけど微妙に違いました。 また蚤の市で、DDRモノを探していると、時々出会うのが「EVP」の文字。Endverbraucherpreis(最終消費者価格)の略語です。パッケージの紙箱やラベルにプリントされていることも。 ●MfS / Stasi >  Ministerium für Staatssicherheit 映画などのイメージもあって、知名度が高い(?)旧東ドイツの秘密警察、シュタージ。MfS – Ministerium für Staatssicherheit (国家保安局)となります。 この「国家保安」というドイツ語のスターツジッヒャーハイトを略しての通称がシュタージ。 局には直接所属せずにスパイとしてなんらか諜報活動に関わっている人はIM イーエム、と呼ばれます。このInoffizieller...
出典: © Hideko Kawachi

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 13

よく長いと言われるドイツ語。確かにドイツ語は単語が長い!
出典: © Tatsutoshi Tsuchiya

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 12

ドイツ語圏」は、ドイツだけではありません。
出典: © 河内秀子

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 11

ドイツにもやっと、春がやってきました!
出典: © 河内秀子

いまだ続く、旧東ドイツの廃炉作業

旧東ドイツの誇りだった、ラインスベルク原子力発電所。停止から28年目の今も廃炉作業は続いています。

学校では教えてくれないドイツ語 Vol. 10

木を切り倒し、家の前に立てて愛の告白? その2

学校では教えてくれないドイツ語 Vol.9

実はドイツでも、出会いはオンラインが盛ん。シャイなドイツ人だけど告白は暴走!? 
出典:|flickr/Michael Radtke CC BY-ND 2.0|https://flic.kr/p/5Q48ki

学校では教えてくれないドイツ語 Vol.8

「クリスマスきゅうり」と「熱いアザラシ」でドイツのクリスマスを祝おう!? − クリスマスに使える(?)ドイツ語!
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