もっともよく知られているスイス料理といえば、ひと口大のパンや肉をとろけたチーズにくぐらせるチーズフォンデュ。よく考えればちょっと変わった料理だが、スイスにはさらにユニークな――率直に言えば理解しがたい――料理がまだまだ存在する。
・ソーセージチーズサラダ(Wurst-Käse-Salat)
ソーセージの薄切りとサイコロ状のチーズを、フレンチドレッシングで和えた料理。野菜の「や」の字もないが、スイスではれっきとした「サラダ」として扱われている。
・カシミールライス(Reis Casimir)
スイス人が“アジア料理”を作るとこうなる。ライスにチューリッヒ風のゲシュネッツェルデ(細切りの牛肉をクリームソースで煮込んだ料理)を添え、その上に缶詰のフルーツと揚げバナナをのせて完成。そうそう、泡立てた生クリームも忘れずに……!
・ひき肉のパスタ、りんごピュレ添え(Gehacktes mit Hörnli und Apfelmus)
パスタ&ひき肉は(トマトかなにかが加えてあればもっといいが)よしとしよう。しかし、なぜそれにりんごのピュレをかけてしまうのだろうか?
・ハワイアントースト(Toast Hawaii)
この料理は1950年代に人気を博し、いまもなおスイスおよびドイツで食されている。トーストの上にハム、缶詰のパイナップル、チーズ。それ以上でも以下でもない。
・スイス風ソーセージのパイ (Pastetli mit Brätkügeli)
パイ生地に、ソーセージ、キノコ、そしてクリームソース。付け合わせにはしばしば乾いたライスが。ハワイアントーストに負けず劣らずレトロな一品だ。
・子牛のソーセージとパン(Kalbsbratwurst mit Bürli)
ソーセージはこんがりと焼き上げられ、パンに無造作に突っ込まれる。まあ、どこか(ドイツ)で見たような組み合わせだが、スイスでも同様このシンプルな味が愛されている。
・アルプスの人々(Älplermagronen)
ジャガイモのパスタ。焼きそばパンもびっくりの炭水化物爆弾だが、さらにこれにりんごのピュレを添えるのがスイスアルプス流。
・コレラ(Cholera)
“コレラ”は、ネギ、ジャガイモ、チーズ、りんごを一緒に焼き上げた料理のこと。いわばスイス風のキッシュだが……食欲をそそらない名前については触れないでおこう。
・皮つきゆでジャガイモ(Gschwellti)
もはや芸術的な、皮ごとゆでたジャガイモ。あっつあつのジャガイモにチーズをのせて、とろけたところをぱくり……くやしいが、間違いなく美味しいことは認めよう。