ドイツにもやっと、春がやってきました!日本人としてはやはり桜に春を感じますが、ドイツ人にとっての春の知らせは「シュパーゲル」!白アスパラガス! 

ゲーテも大好きで、なんと自分で栽培して恋人に送っていたとか?! そんなわけで、今回は、白アスパラガスに関するドイツ語やことわざです!

出典: © 河内秀子
⭐ Spargel-Pipi > 白アスパラガスおしっこ

美味しい食べ物の話なのに、しょっぱなから下ネタで、大変申し訳ありません!白アスパラガスを食べた後にはトイレに行きたくなる。そして独特の匂いがあると聞いたことがある方も多いかもしれません。実は白アスパラガス、92%が水分!ドイツの1人前、500gを食べても、100カロリーしかないというヘルシーな食材なんです!!

ドイツ人が「シュパーゲルはほとんど水分でカロリーはほとんどない」と、大量の茹でジャガイモやシュニッツェル、時には焼きソーセージなどを添えてカロリーを補充しているのを疑念の目で見ていたんですが、本当でした(笑)そういえば、白アスパラ料理にぴったりなジャガイモだということで「Spargelkartoffeln」という名で売られているジャガイモを目にしたことも。

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しょっちゅうダイエット特集を組んでいる女性誌Brigitteによれば、白アスパラは「理想のダイエット食材」!

そんなわけで、白アスパラガスを食べるとトイレが近くなるんですねー。ところで、気になる匂いですが、アスパラガスに含まれるアスパラギン酸の作用で、硫黄の匂いになることがあるそうですが、その匂いが出ない人や感じられない人が多いのだとか。その不思議を解明すべく、世界中で様々な研究が行われているそうです。

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⭐ König der Gemüse > 野菜の王様

白アスパラガスって美味しいよね、、という話になると必ずと言っていいほど耳にするのがこの言葉。かのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテも「シュパーゲルはまことに全ての野菜の王様だ。ただ残念なのは、その統治期間が短かいことである」なんて言っていたそうで、彼は自分で白アスパラガスを栽培して、最初の収穫を恋人に贈ったこともあったのだとか。

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茹でて、溶かしバターをかけるとほんのり白く透き通った黄金色に輝いて……そして、柔らかく甘くみずみずしい味は、まさに春そのもの!

実はこのシュパーゲル、不思議なことに男性名詞の場合と女性名詞の場合があるんです。王様なのか女王様なのかはわかりませんが、最高の野菜であること間違いなし。

Heiligstes Gemüse (最も神聖な野菜) なんて言われることもあって、ドイツでのシュパーゲルの崇めたてられまつり方と言ったら、尋常なものではありません。旬が短く、食べられる期間が短いことも、その美味しさ、魅力に繋がっているのだと思います!

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⭐ Bis Johanni nicht vergessen (sieben Wochen Spargel essen) > 聖ヨハネの日までということを忘れずに (7週間シュパーゲルを食べよう)

農業のことわざとしてあるこの言葉。この言葉通り、ドイツではだいたい聖ヨハネの日、6月24日前後までにシュパーゲルの露地物の収穫を終えます。(もちろんそれ以降でも、販売している農家もありますが数少ない)

それはシュパーゲルが、翌年まで再びエネルギーを溜めるため。聖ヨハネの日から霜が降りるまでには少なくとも100日間あるため、じっくり養生できるんだそうです。

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たしかに7週間、シュパーゲルを食べ続けられたら幸せです。ドイツではどの街でも近郊に白アスパラガス農家があって、地物の出荷が始まると、街中のレストランが店先に「白アスパラガスあります」という看板を出します。

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⭐ Kirschen rot, Spargel tot. > さくらんぼが赤くなったら、白アスパラガスはもうダメ

上記と同じく、農家の言い伝え。白アスパラガスの時期は、ルバーブの収穫時期とも重なっていますが、白アスパラガスがそろそろ終盤かな、という頃に苺のスタンドが町中に現れ、そうこうしているうちにさくらんぼが店先に並び、庭先で食べる自家製のプラムのケーキが美味しくなって、そろそろ肌寒いなあと思っているとキノコが出て、転がるように真っ暗な冬に突入し、ドライフルーツがたっぷり入ったシュトレンと、鹿だの猪だのの煮込み系お肉料理に幸せを感じる、なんていうのが、ドイツの食材で見る四季です。

白アスパラガスの美味しさは、寒さに強い根菜と保存食で過ごしていた長く暗い冬が終わり、新鮮なみずみずしい野菜が食べられる!という嬉しさでもあるのです。

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⭐ Spargeltarzan > アスパラガスターザン

アスパラガスとターザンになんの関係が? ポパイとほうれん草ならわかるけど、、、? この言葉は、痩せてひょろりと背が高い男性を指す言葉。日本語でも「もやしっ子」なんて言葉がありますが、この「アスパラガスターザン」は、細くてもしっかり筋肉がついた背の高い男性を指すよう。すっくと立つ白アスパガラス、確かにもやしと比べるとかなりしっかりしている気がします。

さて、シュパーゲル!楽しんでいただけたでしょうか?最初はシンプルに溶かしバター、そしてクリーミーなスープ、それに飽きたら(?)皮のかき揚げや、白アスパラガスのアイスなどにも挑戦してみてください!

ベルリンのアイス屋さんで出している、白アスパラガスのアイスについては、young germanyのブログ、「ドイツで春を告げるモノ: シュパーゲル」でご紹介しています♪

言葉や写真だけでなく、この時期ドイツに行くことがあれば、ぜひとも実際に食していただきたいドイツ最高のグルメ! これを食べるためだけにでも、ドイツに行く価値あり!?ですよ!

執筆者:河内秀子
東京都出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』や『料理通信』『ミセス』、『Young Germany』『Think the Earth』などでもベルリンやドイツの情報を発信させて頂いています。
Twitterで『#一日一独』ドイツの風景をほぼ毎日アップしています。いまの興味は『#何故ドイツではケーキにフォークを横刺しにするのか問題』。美味しくてフォークを刺してあるケーキを探し歩く毎日です。HPもご覧ください。