サンドラの日独比較 Vol. 13
日本では男女の友情は育ちにくい?

ドイツ人を恋人に持つ日本人は、ときに「ドイツ人の異性の友達との関係」にヤキモキするようです。本人達は「友達」というけれど、どうみても日本人の“常識レベル”を超えている「近さ」だったりするからです。

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日本の場合、学校でも会社でも、なんとなく「男子は男子と」、「女子は女子と」というのが暗黙のルールだったりします。もし恋人関係にない男女が二人だけで行動していたら、周りからはやしたてられること請け合いです。

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日本では「友達になる相手は異性ではなく同性」という“社会的なルール”が割と早い段階で大人から子へと“伝授”されいます。男の子と女の子がお互いの性別を気にせずに無邪気に遊んでいる光景が見られるのも小学校低学年ぐらいまで。

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それ以降は休み時間もお弁当の時間も部活も、男女の間には見えない境界線がピーンと張られているよう。当人同士は「友達」のつもりでも、周りが「本当に恋愛感情ないの?」と確認したり、その2人がシングルな場合は「せっかくだから付き合っちゃいなよ!」とくっつけようとしたり。日本の場合、男女が交わることはあまりなく、男女の友情が育ちにくい土壌です。

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一方、ドイツの場合、幼少期から思春期、そして大人になっても、「好きな人間」として、そして「気の合う友人」として男女の交友関係を大切にします。夜遅くまで一緒にお酒を飲んだり、キャンプが共通の趣味の場合は遠出をして一緒にキャンプをしたり。日本人にとって、そんな“友人関係”はイエローカードですし、ケンカになってしまうかもしれません。

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私サンドラにも、ミュンヘンに幼馴染の男性がいるのですが、彼が日本に遊びに来て、私の家に10日間ほど泊まった時は、周囲が大騒ぎでした(笑)「え?同じ屋根の下にいて、何も進展なかったの?」といった趣旨の質問をたくさんされた記憶があります。実際には友達なので、何もロマンチックなことはないのですけどね。なかなか信じてもらえません。

ドイツ人にとって、同性であろうと、異性であろうと、友達は友達。そういった共通認識があるため、日本よりも男女の友情は育つのかもしれません。ドイツ人パートナーを持つ日本人の方、心配だとは思いますが、これも文化の違いだと考えると理解しやすくなるかもしれません。

サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフはナニジン?」、「ハーフといじめ問題」、「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ) など計11冊。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。