サンドラの日独比較 Vol. 12
「おひとりさま天国」の日本と「カップル社会」のドイツ

外国人が日本に来て驚くこと。それは日本では街のいたるところで“おひとりさま行動”をしている日本人がいること。この「おひとりさま」には女性も多く、一人ランチ・一人スイーツ・一人焼肉・一人登山・一人カラオケ・一人旅などなど。口癖のように「結婚したい」と言っている女子のみならず、実際に恋人や夫がいる女性も「おひとりさま天国」を満喫しているのが面白いです。

出典: flickr/Norio Nakayama CC BY 2.0

ドイツはというと「カップル社会」ですので、買い物も映画鑑賞も外食も、そしてもちろん旅行も「カップルで」が基本です。そのため頻繁に一人で行動をする女性に関しては、周りから白い目で見られるか、何かと周りから「茶々が入る」ことが多いです。それにしても「なんでもかんでもカップルで」という思考、やはり「アダムとイブ」が関係しているのでしょうか?(笑)

出典: flickr/Win_Photography CC BY 2.0

ドイツだと、パートナーがいない人には同情の視線が注がれ、パートナーがいるのに一人行動している人は「変わった人」だと見なされてしまう結構シビアな世界です。

そしてそして日本の「女子会」。これもドイツ人にとってはまた「異文化」なのでした。ドイツにも女性オンリーの集まりを意味する「Weiberabend」(ワイバーアーベント)がありますが、これは「何か特別な事情があった時に、数年に一度開催されるもの」というようなイメージが強く、あまり華やかなイメージはありません。

出典: flickr/naoko kawachi CC BY-NC-ND 2.0

日本の女子会は本当に華やかです。素敵な風景を眺めながらホテルでブランチをしながらの女子会、ワインを飲みながらの女子会、都内のおしゃれエリアで旬のものをいただきながらの女子会。どこも楽しそうで、日本のマスコミはしばしばこれらの華やかな女子会を取り上げると同時に、「一人寂しくワンコインでランチを済ませているどこかの旦那さん」と比較して盛り上がったりもします。

出典: flickr/Takamorry CC BY SA 2.0

ニッポンの女子会はオシャレであると同時に、名前のとおり「女の本音」が聞ける場でもあります。比較的上手くいっているカップルや夫婦であっても、女子会に参加する者同士で、旦那さんや男性に関する愚痴で盛り上がったり。けっこう辛辣な発言が飛び交ったりもしますが、これは男性が少し気の毒な気がしないでもありませんが・・・それもまた女子会なのでした。

出典: flickr/Alexander Russy CC BY-NC-ND 2.0

「女子会」を大切にするニッポン、そしてパートナーを大事にし「いつでもどこでもパートナーと一緒に行動」が基本の「カップル社会」であるドイツ。そんなだから、パートナー同士のお互いの呼び合い方も愛にあふれています(笑)Schatzi(宝物)、Kätzchen(子猫ちゃん)、Spatzi(スズメちゃん)、そして日本人にはビックリのMausi(ねずみちゃん)なんていう呼び名も。いい歳した大人がお互いを小動物にたとえて呼びあっている姿は、それこそ日本人の眼から見たら「不思議」に映るのかもしれません。

サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフはナニジン?」、「ハーフといじめ問題」、「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ) など計11冊。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。