同じ先進国なのに日本とドイツ語圏の労働時間の差はとてつもなく大きい。労働時間の差はどこで生まれているのかを探ってみた
1. 一人当たりの平均年間総実労働時間


日本の年間総労働時間は、オーストリアとは104時間、スイスとは139時間、そしてドイツとは358時間もの差がある。これは8時間労働で換算すると、日本の労働者は、オーストリアよりも13日間、スイスよりも約17日間、そしてドイツより約45日間も一年を通して多く働いていることになる。
それでは、こうした日本とドイツ語圏の労働時間の差はどこから生じているのだろうか。
2. 年間祝祭日数


日本人にとっての唯一の“慰め”とも言える祝祭日。日本の祝祭日数は確かにドイツ語圏と比較しても多い。世界でも第2位の多さだ。祝祭日だけで言えば、日本の労働者は恵まれていることになる。
3. 1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(労働者一人平均)


それでは、有給休暇日数ではどうだろう。ドイツの30日という付与数の多さが一際目立つ。
4. 実際の平均有給休暇取得日数

では、実際はどうだろうか。オーストリアとスイスでは取得率はほぼ100%。ドイツでは付与数を使い切るのが意外と難しいのか、取得率は88%の26.4日。
問題は日本だ。日本では、もともと付与される有給休暇日数が少ない上に、その半分すらも取得していない。日本の平均有給休暇取得日数は9日。ドイツ語圏と比べて、年間労働日数において11日〜17日の差を作っていることになる。
5. 年間超過勤務時間(正社員)


そして、さらに労働時間の差を広げている原因が日本で常習化している時間外労働だ。比較対象可能なオーストリア、スイスの正社員超過勤務時間統計がないのが残念だが、ドイツと日本の超過勤務の時間差は151.9時間。8時間労働で換算して約19日分、約1ヶ月分にも及ぶ。
しかも日本の場合、数字化されていないサービス残業があるから、実際の差はとてつもなく大きいことが想像に難くないだろう。
つまり、有給休暇の取得と超過勤務が労働時間の差を生んでいる最大の理由だったのだ。有給休暇申請を出すのはなかなか難しい日本。まずは超過勤務を少なくするところから始めてみたい。