ドイツの冬に欠かせないクリスマスマーケット。ほとんどの街で開催されるのだからその数は膨大だ。ドイツ中から厳選された個性豊かなマーケットを一挙ご紹介

ドイツ人は老いも若きも、クリスマスマーケットが大好き。暖かいお酒で体を暖めながら、友人とのおしゃべりに花を咲かせたり、家族へのクリスマスプレゼントを探したり。日本ではニュルンベルクのクリストキントレスマルクト(Christkindlmarkt)が有名だが、昨今ではドイツ中の街が趣向を凝らして、人々を呼び込もうとしている。

◆ 最もロマンチックなクリスマスマーケットは?

ローテンブルグ(Rothenburg)のライターレスマルクト(Reiterles-Markt)

バイエルン州のローテンブルグは、ミュンヘンから車で北に2時間半ほど行ったところにある。中世時代の市壁が街をぐるりと取り巻き、当時の街並みと古い家々が美しく保存された「中世の宝石」と称される街だ。暖かいイルミネーションに飾られたこの街のクリスマスは、ロマンチックそのもの。

Rothenburg Tourismus/Willi Pfitzinger
出典: Rothenburg Tourismus/Willi Pfitzinger
◆ 最も大きなクリスマスツリーがあるのは?

ドルトムント(Dortmund)のクリスマスマーケット

世界一大きなクリスマスツリーがドルトムントにある。高さは45メートル、重さは90トン。48,000個以上の電飾で飾られる。マンションの14、15階に相当する高さだというのだから一見の価値があることは間違いなしだ。

Facebook/Dortmunder Weihnachtsmarkt
出典: Facebook/Dortmunder Weihnachtsmarkt
◆最も大きいフォイヤーツァンゲンボーレ(Feuerzangenbowle )があるのは?

ケルン(Köln)のクロードヴィッヒプラッツ(Chlodwigplatz)のマーケット

フォイヤーツァンゲンボーレは、古い映画をきっかけに人気が出た。暖かい赤ワインとラム酒と砂糖でできていて、すぐに酔っ払いたい時に最適な飲み物だ。 世界一大きなフォイヤーツァンゲンボーレが、行き交う人々を待っているのが、ケルンの北にあるクロードヴィッヒプラッツだ。

ラム酒をたっぷり含んだ棒状の巨大な砂糖に火がつけられると、高さ3.5メートル、直径2.5メートルの鍋に入った9,000リットルの赤ワインに、溶けた砂糖がポタポタと落ちていく。なんとも非日常な光景を楽しむことができる。

出典: Wikipedia CC BY-SA 3.0
◆ 世界一背の高いキャンドルがあるのは?

シュリッツ(Schlitz)のクリスマスマーケット

フランクフルトから、車で1時間半ほど東に行った所にあるヘッセン州(Hessen)の小都市シュリッツのマーケットに、世界一大きなキャンドルがそびえ立っている。
高さ42メートルのキャンドルには、なんとエレベーターで登ることができ、街とクリスマスマーケットの眺めを楽しめる。残念ながらこれは本物ではなく、街の小塔をキャンドルに見立ててデコレーションしたものだ。

Schlitz Kerze
出典: Facebook
◆入場可能な最大のクリスマス・ピラミッドがあるのは?

ロストック(Rostock)のクリスマスマーケット

クリスマス・ピラミッドはドイツで一般的なクリスマスの装飾だ。キャンドルで暖められた空気が、風車にあたり、飾台を回す仕組みのクリスマス・ピラミッド。台の上には、キリスト誕生の時を表現した馬小屋などが飾られている。 バルト海に面した街、ロストックには、高さ20メートル、重さ30トンのクリスマス・ピラミッドがある。飾台の上のイエスキリストやマリア様は等身大。中に入ることもできるクリスマス・ピラミッドとしては世界一の大きさを誇る。

出典: Fotolia
出典: Fotolia
◆ドイツ国内で唯一、幼子イエスによって開会されるクリスマスマーケットは?

ニュルンベルク(Nürnberg)のChristkindlesmarkt(クリストキンドレスマルクト)

ブロンドの巻き髪に白い衣装を身につけた幼子イエスに扮した女の子が、マーケット会場となる広場Hauptmarkt(ハウプトマルクト)に面したフラウエン教会の外ギャラリーに立ち、クリスマスマーケット開会の挨拶をして始まるニュルンベルクのクリストキンドレスマルクト。マーケットではもちろんニュルンベルク名物のクリスマス菓子・レープクーヘンが人気だ。

出典: © Stadt Nürnberg/Christine Diefenbach
出典: © Stadt Nürnberg/Christine Diefenbach
◆ 最も美しいアトラクションがあるのは?

ゴスラー(Goslar)のクリスマスマーケット

ニーダーザクセン州のゴスラーには、クリスマスマーケットの他に、グリム童話のシーンが再現されたメルヘンの森(Märchenwald)がある。お気付きの方も多いと思うが、グリム童話はクリスマスと全く関係がないが、なんとなくクリスマスの雰囲気を醸し出している部分があるからだろう。

Weihnachtswald
出典: weihnachtswald.de
◆ 最も大きなお菓子の家があるのは?

アウリッヒ(Aurich)のクリスマスマーケット「クリスマスの魔法(Weihnachtszauber)」

森に住む魔女が子供たちをおびき寄せるために建てたお菓子の家。こちらもグリム童話に登場する。ドイツの子供たちは、代表的なドイツのクリスマスのお菓子レープクーヘン(Lebkuchen)で、お菓子の家を作るのを楽しみにしている。ドイツのスーパーにはクリスマスの時期、組み立てるだけの「お菓子の家キット」なるものも登場する。
東フリースラントにあるアウリッヒのマーケットホールは、クリスマスにはお菓子の家に変身する。マーケット広場の真ん中にあるホールを、すっかり包む為に用意されたお菓子の家の壁紙は、900平方メートルに及ぶ。

出典: weihnachtszauber.aurich.de
出典: weihnachtszauber.aurich.de
◆ 世界最古のクリスマスマーケットは?

バウツェン(Bautzen)のWenzelsmarkt(ウェンツェルスマルクト)

クリスマスマーケットの起源は、1384 年にドレスデン近郊の町・バウツェンで開催された自由肉市だ。キリスト教の断食期間にあたるアドベント中は肉を売ることが禁止されていたが、“クリスマス用の肉”との名目で、当時のウェンツェル王が肉市場を許可した開催されたのがクリスマスマーケットの始まり。

バウツェンのクリスマスマーケットがWenzelsmarkt (ウェンツェル王のマーケット) という名前である理由がここに隠されている。

出典: bautzen.de
出典: bautzen.de

他のクリスマスマーケットと比べて、少々地味でこじんまりとしているバウツェンのクリスマスマーケット。2016年、最初の自由肉市から633回目を迎えるのだが、その起源に思いを馳せながら訪れてみるのもなかなか粋かもしれない。