過酷な環境を強いられてきた動物たちが、残された時間を“楽園”で過ごせるように――そんな理念を掲げた施設がオーストリアにある。

今から15年前、ミヒャエル・アウフハウザー(Michael Aufhauser)という人物が設立した「グート・アイデルビヒル(Gut Aiderbichl)」。劣悪な条件下に置かれていた動物を引き取り、ふさわしい形で飼育するための施設、いわば動物のための“シェルター”だ。

グート・アイデルビヒルは、ザルツブルク近郊で発足。当初は、犬、ヤギ、馬、キツネ、羊、猫、豚など、わずか18匹の動物たちのための場所だった。

今では、施設は26ヵ所にまで拡大し、300人を超える従業員が約6000匹の動物の世話をしている。

例えば、バンディット(Bandit)と名付けられた雄牛。彼は生まれてからずっと鎖でつながれ、自由に動き回ることができなかった。

これは、彼が自由になった喜びを体いっぱいに表現する、心動かされる動画だ。

また、5年前には、ウィーンの近くのゲンゼルンドルフ(Gäserndorf)に、300万ユーロを投じて11匹のチンパンジーのための施設が建てられた。チンパンジーたちはアフリカで生まれてすぐに母親から引き離され、30年間もの間、薬物の動物実験に使われてきたという。

幾頭かは新鮮な空気を吸ったことも、太陽の光を浴びたことすらもなかった。この動画には、突然の自由に戸惑い、互いに身を寄せ合いながらおそるおそる外への1歩を踏み出すチンパンジーたちの姿が記録されている。

運営は寄付によって賄われていて、いくつかの施設は見学に行くこともできる。