ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州東部に位置する「オストヴェストファーレン・リッペ(Ostwestfalen-Lippe)」。風景の美しさもさることながら、ヘルスケア、学術、経済の面から見ても重要な地域だ。
その名のとおり、オストヴェストファーレンとリッペというふたつの地域から構成されているが、このダブルネームはドイツ人にとっても馴染みが薄く、通常は「OWL」と略して呼ばれている。では、なぜこのOWLを知っておくべきなのか、11の理由を紹介しよう。
1. OWLはドイツのほぼ真ん中に位置している
オストヴェストファーレンはその名に東(オスト)、西(ヴェスト)を含んでいるが、位置するのはドイツのほぼ中央部だ。

2. OWLはドイツにおける「癒しの庭」である
ドイツ人は、元気でスリムになりたいとき、OWLを目指す。
OWL内のミンデン=リュベッケ(Minden-Lübbecke)、ヘルフォルト(Herford)、リッペ地域に、大規模なスパが5ヵ所、クナイプ式スパが1ヵ所、そして保養施設が15ヵ所あるためだ。

旅行者には、バード・ザルツウフレン(Bad Salzuflen)にある施設「エアレープニス・グラディアーヴェルク(Erlebnis-Gradierwerk)」がおすすめ。
塩水ミストルームでは、スピノサスモモという植物の枝の薬効を含んだ塩水が細かな霧状になって肺の奥まで届き、喘息や気管支炎といった気管支の不調に働きかけてくれる。

3. OWLでは古代ドイツの歴史に触れることができる
デトモルト(Detmold)の近くの森の中に、巨大なヘルマン像がそびえ立っている。高さは53メートルあり、ドイツ国内で最も高い立像だ。この像は、紀元9年に起こった、ヘルマン率いるゲルマン民族がローマ軍を破った戦いを思い起こさせる。

4. OWLは世界市場を牽引している
OWLには、売り上げ10億ユーロを超える企業が17もある。例えば掃除機で有名なミーレ(Miele)、メディア企業のベルテルスマン(Bertelsmann)、農機具メーカーのクラース(Claas)、日系工作機械メーカーのDMG森精機などだ。

5. OWLはオートメーションの中心地だ
「it’s OWL」の名の下、174の企業や大学、団体が、オートメーション化や自動車産業、機械製作などの製造業分野での技術革新に励んでいる。ドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」の旗手とも言える場所だ。

6. OWLでは、ドイツ人のかつての暮らしを知ることができる
デトモルト近郊に、リッペの農村部の人々のかつての暮らしを体感することができる野外ミュージアム「LWL-Freilichtmuseum Detmold」がある。

ドイツ国内最大規模の野外ミュージアムで、100の歴史的な建物、庭や草地、ガチョウや豚などの動物たちの姿を観察することができる(オープン期間は4月から10月まで)。

7. OWLでは特別なパンとソーセージが味わえる
煮込んだ肉、新鮮なブラッドソーセージやレバーペーストなどからなるシュラハトプラッテ(Schlachtplatte)と呼ばれる肉料理が楽しめる。

粗びきライ麦からできた全粒粉パン、プンパーニッケル(Pumpernickel)は、通常のパンよりもどっしりと食べごたえがあり、日持ちのするパンだ。旅行者には、ニーハイム(Nieheim)にある「ヴェストファーレン・クリナリウム(Westfalen Culinarium)」がおすすめ。

OWL独特のパン、チーズ、ハム、ビール、そしてシュナップス(蒸留酒)などを味わうことができるユニークなミュージアムだ。
8. ベーキングパウダーはOWLで発明された
ドイツ人なら誰もが知っている「ドクター・エトカー(Dr. Oetker)」は、120年前にベーキングパウダーを売り出し成長を遂げたファミリー企業だ。

水やミルクを混ぜるだけの、誰でも失敗ナシのプリンやケーキの素で広く知られるようになった。
ビーレフェルト(Bielefeld)にある「ドクター・エトカー・ヴェルト」では、さまざまな体験ができて楽しい。

9. OWLには「湧き水の街」がある
パーダー川の恵みによって、なんと街の200ヶ所で湧き水がわいているパーダーボルン(Paderborn)という街がある。地下水は一定の温度に保たれていて、夏は涼しく、冬は暖かい。街が栄えたのもこの地下水のおかげだ。

10. OWLでは、中世の街に泊まることができる
1364年にハンザ同盟に加盟したヴァールブルク(Warburg)は、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州でもっとも美しい街のひとつだ。

旧市街では、その繁栄ぶりを今日でも感じることができる。街を取り囲む外壁や塔の趣から、「ヴェストファーレンのローテンブルク」と呼ばれることもある。

11. OWLでは多くの日本人が音楽を学んでいる
デトモルト音楽大学は、音楽家としての経験を積むのに理想的な場所だと国内外からの評判が高く、多くの日本人もここで学んでいる。1718年に建てられた居城、ノイエスパレ(Neues Palais)を使用している大学施設そのものにも趣がある。
