華やかに飾られた牛たちが、カウベルの音を響かせて山からおりてくるアルムアプトリープは、アルプスの秋の風物詩
アルムアプトリープとは、夏のあいだアルプスの山の上の牧草地で過ごした動物たちが、村へおりてくる儀式のこと。

寒い冬は山の牧草も育たなくなるため、牛たちは村の小屋での冬ごもりをする。

多くの人々が集まり、音楽を奏で、踊り、夏を無事に過ごせたことを祝う。牛たちを美しく飾るのが、何世紀ものあいだ受け継がれてきた伝統だ。

飾りには、緑のもみの葉、アルペンローゼなど色とりどりのアルプスの花が欠かせない。

カラフルなリボンや、鏡も使われる。

牛の首にはカウベルをかける。その音が悪魔を遠ざけるのだ。

前を歩く牛は、特別に大きな、王冠の形をした飾りをつける。

この風習は、ドイツとスイスとオーストリアといったアルプス地方の国々ではどこにでもあるのだが、オーストリアのものは特に歴史が古い。また広い地域で行われており、飾りは地域によって違いがある。
バート・クラインキルヒハイム(Bad Kleinkirchheim)の飾り

クーフシュタイン(Kufstein)の飾り

モースアルム(Moosalm)の飾り

モンタフォン(Montafon)のアルムアプトリープの様子。山に響くカウベルの音に心癒される。