そこにあるのはベッドと静けさだけ。オーストリアのアーティストがなんともユニークなホテルを考案した。
枕元のキャンディ、パンツをプレスするアイロン、目覚ましのラジオ。それにテレビやミニバー、バスタブ。そんなものが本当にホテルに必要だろうか? さらには、窓やシャワー、朝食すらいらないかもしれない――。
そんなコンセプトをもとに、オーストリア人アーティストのアンドレアス・シュトラウス(Andreas Strauss)氏が、極端にミニマルなホテルを建設した。
場所はドナウ川沿い、北オーストリアのリンツ近郊のオッテンスハイム(Ottensheim)。客室は、直径2.4m、長さ2.7m、重さ9tの実際に使われているものと同じ下水道管で作られている。
この「土管ホテル」は、オッテンスハイムの町から100mほど離れたところに建つ。フロントはなく、事前にインターネットで申し込みをしてコードを受け取り、到着後、部屋のドアにそのコードを入力するだけだ。
支払いはなんと「ご自由に!」。利用者の多くは5€から50€を支払うそうだ。そしてそのうち3分の1はシュトラウス氏に、残りの3分の2はクリーニング担当者に分配されるという。
ベッドはダブルで、クッション、十分な毛布、清潔なリンネルの寝袋などが用意されていて、ベッドの脇と下には収納スペースがある。電源はきちんとあるので、こちらは安心。
トイレとシャワー(残念ながら水のみ!)は、ホテルを出て右手に100mほど行った先にある。そのそばには、やはり土管のなかにビュッフェが用意されていて食事が取れる。飲料水ももちろん敷地内に確保されている。
朝食は町の市場に出かけるか、問い合わせをすればビュッフェで取れることもあるそうだ。
ドイツのルール地方のボトロップにある公園ベルネパーク(Bernepark)にも、同様の「土管ホテル」が建てられている。
こんなシンプルを極めたスペースなら、思索に富んだ一夜を過ごせるのでは……?