『ビルケンシュトック(Birkenstock)』のサンダル愛用者は、看護師・教師・環境保護主義者のどれかだ」− このようなレッテルが、長年、ドイツ、スイス、オーストリアでは付いて回っていた。
しかし、その垢抜けないイメージのサンダルメーカーが今、大きなトレンドを巻き起こしている。
最初のきっかけはまさに偶然やってきた。フランスのラグジュアリーファッションブランド『セリーヌ(Céline)』のチーフデザイナーを務めるフィービー・フィロは、2013年の春コレクションで、ハイヒールの代わりに、真っ平らな『ビルケンシュトック』のサンダルをモデル達に履かせたのだ。
この後、レオナルド・ディカプリオやジェシカ・アルバ、ジュリア・ロバーツ, ヴィクトリア・ベッカム, ニコール・キッドマン, ラッパーのジェイ・Zといったセレブ達が、プライベートシーンで『ビルケンシュトック』を愛用。瞬く間にラグジュアリーブランドを取り扱うオンラインショップNet-A-Porter.comでも『ビルケンシュトック』のサンダル販売が始まった。
プライベートで『ビルケンシュトック』を愛用するアン・ハサウェイ
最近では実業家としても注目されるジェシカ・アルバの足下にも『ビルケンシュトック』が
その人ご存知ですか。レオナルド・ディカプリオではありまんか。
続いてメーカー自体にも改革が起きた。ファッション性の高い新モデルをプロデュースするため、ラグジュアリーブランド『ジバンシー(Givenchy)』やファッションブランド『Y’s(ワイズ)』の設立者で日本人デザイナーの山本耀司とコラボレーションをスタート。
2014年春夏コレクションで発表された『Y’s(ワイズ)』とのコラボレーションモデルは、『ビルケンシュトック』のレギュラーラインよりも遥かに値の張る34,000円で販売された。(同コラボレーションは、2015年にも再び展開された)
しかし、どんなにファッション性を追い求めても『ビルケンシュトック』にとっては外せないものがある。1774年に発明された『ビルケンシュトック』の原点 – どんな足形にもフィットするコルク製のフットベッドである。どのコラボレーションモデルにおいてもこのフットベッドは必ず備えられている。
ロンドンにある“デザインミュージアム“が発行した著書『50 shoe models which changed the world(世界を変えた50の靴)』に選出された『ビルケンシュトック』のサンダル。創業以来、一貫してドイツ国内製造を続けている。1963年に誕生したファーストモデル『マドリッド』は、今も定番中の定番である。
『ビルケンシュトック』は、今、チェアやクッション、マットレスなどのヘルスプロダクトのプロデュースに力を入れている。サンダルと同様に形状と素材にこだわった『ビルケンシュトック』にしかできない独自の製品づくりを目指しているようだ。