ウィーン古典派三大巨匠の一人 – ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。その才能とは相反し収入には恵まれず金銭に苦労したモーツァルトだが、彼の遺産的価値は莫大だ。
没後220年以上経った今でもモーツァルトの遺品は絶大な価値がある。2015年5月、ロンドンにある世界最古の競売会社サザビーズで、モーツァルトの髪の毛一束がオークションにかけられ、予想の200万円を大きく超える約670万円で落札。
2014年にはモーツァルトのミニチュア肖像画が同じくサザビーズで競売にかけられた。肖像画に描かれているのは21歳のモーツァルト。たった4センチほどの肖像画だがなんと約4200万円で落札。入手したのはモーツァルトの子孫の1人。将来、さらに値が上がることを期待しての落札かと囁かれた。
例えば、お土産として有名なモーツァルトクーゲル（Mozartkugel）。ほんのり苦いピスタチオとマジパン、ヘーゼルナッツのヌガートが絶妙なハーモニーを織りなすチョコレート菓子だが、年に数千万個売りさばかれるモーツァルト土産の代表の品。
もともとは、オーストリアのザルツブルクに住んでいた菓子職人パウル・フュルストが1890年に生み出したモーツァルトクーゲル。
しかし、その美味しさから模倣品の製造が当時から激しく繰り広げられ、その舞台はザルツブルクのみならず、その他のオーストリア地域、そしてドイツにも広がっていった。そもそも開発会社であったフュルスト社がモーツァルトクーゲルの商標権を確保していなかったことが問題だった。
これがオリジナルのザルツブルク・モーツァルトクーゲル
開発から125年経った今もオリジナルレシピとオリジナル技術によって日々手作業で生産されている。ボールをブルーとシルバーの鈴ホイルに手で包むのも当時のまま。
モーツァルトクーゲルほど有名ではないが、なかなか美味なのはモーツァルトポルステル（Mozart-Polsterl）。このお菓子はオーストリアでしか手に入らない。
生クリーム・ヘーゼルナッツ・バター・はちみつ・バニラビーンズ・ブランデーを練ったチョコレートクリームに高級ラムレーズンが入ったお菓子。
人気上昇中のモーツァルトポルステル。
とりわけモーツァルト市場が過熱したのは生誕250年の2006年。モーツァルトTシャツ、モーツァルトヨーグルト、モーツァルトワイン、モーツァルトワッフル、モーツァルトリキュールなど様々なものが商品化され、誰もがモーツァルト効果を期待した。
モーツァルトリキュール。他のチョコレートリキュールとはひと味違う？
活発なモーツァルト市場。モーツァルトブランドはそれほど頼りになる存在らしい。
モーツァルト人形をズームアップ!
こちらは数年前から販売されているお風呂のモーツァルトアヒル。なんと一個1400円なり!!
モーツァルトが誕生してから25歳まで住んでいたザルツブルクは今でも音楽家たちの巡礼地。
モーツァルトの生家 － モーツァルトハウス（Mozarthaus）がある狭いゲトライデ通りはいつも観光客で溢れかえっている。
こちらはもう一つのモーツァルトハウス（Mozarthaus）。ドイツバイエルン州アウクスブルクにあるモーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトの生家だ。レオポルトの庇護のもと、モーツァルトは才能を開花させた。アウクスブルクは、ザルツブルクに並ぶもう一つのモーツァルトタウンになろうとPR活動に励んでいる。
ザルツブルクがモーツァルトクーゲルなら、アウクスブルクはモーツァルトトルテで勝負!
このように死後220年以上を経った今も、世界の楽匠－モーツァルトを巡るビジネスはとどまるところを知らない。モーツァルトが残した言葉「私たちの財産、それは私たちの頭の中にあります。」を聞いて、現代のビジネスマンたちはつぶやくことでしょう。「いいえ、私たちの財産、それはあなた、モーツァルトブランドの中にあるんですよ。」と。
晩年のモーツァルト。激しいモーツァルト市場を見て彼は何を思うのか。。。
