ニュルンベルクで作られたソーセージだけがニュルンベルク・ロストブラートヴルストを名乗れる。「最古の」ロストブラートヴルストを巡って訴訟も起こった。ドイツ人のソーセージへのこだわりは半端ナイ
ドイツで最も有名とされるニュルンベルク・ロストブラートヴルスト（Nürnberger Rostbratwurst）。作り方は、新鮮なマジョラムや玉ねぎ、調味料を加えた精肉に、機械が熱くなることを防ぐために細かく砕いた氷も一緒に入れてミンチ器にかけ、豚や羊の腸に詰めて形作り加熱する。ブナの木で直接あぶり焼きするのが伝統的な手法だが、一般的にはグリルかフライパンで香ばしく焼いて食べる。
ニュルンベルク・ブラートヴルストとニュルンベルク・ロストブラートヴルストという名称は、EU法原産地名称保護制度で保護されている。決まった製法に沿ってニュルンベルクで作られたソーセージだけがこの名を名乗れるのだ。
専門のレストランも多く、1419年創業のZum Gulden Stern、Bratwurst-Röslein、Bratwurst-Glöckleinなどが、幾世紀にも渡って伝統を守っている。
ニュルンベルクと南ドイツを訪れる観光客には絶大な人気を誇るニュルンベルク・ロストブラートヴルスト。それだけに、元祖を巡っては争いも勃発した。
南ドイツの二つの店が、どちらが「最古のソーセージ店」かを法廷で争ったのだ。
一つはニュルンベルクの旧市街にあるZum Gulden Stern
この店の看板メニューSechs auf Kraut は、ザワークラウトの上に6本の小さなRöstlと呼ばれるニュルンベルク・ブラートヴルストをのせたもの。このレストランは、ソーセージを「正しく」調理しているのが売りだ。何も手を加えていないソーセージをブナの木でグリルしているという。
もう一つは、レーゲンスブルク（Regensburg）のHistorische Wurstkuchl
ドイツ最古の石橋と言われるSteinernen 橋の袂、ドナウ川のほとりにある。
2000年、このソーセージ戦争に判決が下った。結果は「どちらも最古」という平和的な判決だった。
レーゲンスブルクの店は既に1378年には市の記録に登場している。一方、ニュルンベルクの方は1419年なので、店の存在を証明する記録の上ではレーゲンスブルクの勝ち。しかし、同じ場所で中断する事なく営業を続けているのは、ニュルンベルクのZum Gulden Stern。1639年から今日まで約380年間、同じ厨房でひたすらソーセージを焼いてきた。レーゲンスブルクの店が現在の場所に開店したのは1651年になってからの事だった。
この両店それぞれの誇りを法廷が甲乙つけずに双方に再認識させた判決だった。両店は今日、それぞれの誇りを前面に出したPRを繰り広げながら幾世紀も前から伝わる美味なるブラートヴルストを焼いている。
Die ,Historische Wurstkuchl’ IST die älteste Bratwurstküche – der ,Zum Gulden Stern’ HAT die älteste Bratwurstküche.
記録上最古の店、レーゲンスブルクのHistorische Wurstkuchlは「最古のブラートヴルスト店である」と。そして、ニュルンベルクのZum Gulden Sternは「最古のブラートヴルスト厨房を持っている店である」と。
