ところかわれば、食習慣がかわる。日本人にはちょっと奇妙に感じられる、ドイツの日常の食の風景をご紹介しよう。

1. 一日中、ハムとチーズとパン
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出典: flickr/Gourmandise CC BY-NC-ND 2.0

ドイツの朝食には、焼き立てのパンとともに、ハムやチーズ、ジャムなどが並ぶことが多い。
しかし、小腹が空いたときなどに食べられる定番の軽食と言えば「ブロートツァイト(Brotzeit、パンの時間の意味)」と呼ばれる、パンにハムやチーズをのせたりはさんだりしたもの。
そして夕食にはそう、「カルテスエッセン(Kaltesessen、冷たい食事の意味)」として、またまたハム、チーズ、パンが出てくることも。
下手をすると3食連続ハム、チーズ、パンなんてことも起こりうる。

2. ジュースに水を混ぜる
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出典: flickr/Urban Explorer Hamburg CC BY 2.0

フルーツジュースのひとりあたりの消費量が世界一と言われるドイツ。しかし、グラスに入れたフルーツジュースに、さらに水を加えて薄めてしまうシーンを目にしても驚いてはいけない。
レストランには、「ショルレ(Schorle)」という、フルーツジュースを炭酸水で割った飲み物が必ず準備されているほど、フルーツジュース+水、はスタンダード。
慣れればすっきりと飲みやすく、糖分の取りすぎも抑えられるなかなか美味しいドリンクだ。見かけたらぜひ試してみてほしい。

3. プレッツェルが赤ちゃんのおしゃぶりがわり
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出典: flickr/Andre Laubner CC BY-NC-ND 2.0

とくに南ドイツでよく食べられるハート形のパン、プレッツェル(Brezel、正しくはブレーツェルと発音する)。大人からも子どもからもこよなく愛されるパンだが、1歳にも満たないような赤ちゃんも例外ではない。油っ気がなく、歯ごたえしっかり、形状も握りやすいため、歯のはえ始めたような赤ちゃんがおしゃぶり代わりにするのにぴったりなのだ(もちろんたっぷりとふられた塩は外して与える)。

ドイツ人のプレッツェル好きは、歩き始める前から始まっているのである。

4. パスタは多めにゆでて、次の日も食べる
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出典: flickr/David Erickson CC BY-NC 2.0

日本の家庭では、パスタは食べきる量だけを調理し、ゆでたての美味しさを楽しむのが普通ではないだろうか。しかしドイツ(少なくとも著者のドイツ人配偶者宅)では違う。パスタは一度で山のようにゆで、あまった分は翌日に持ち越し。フライパンで温め直したり、アウフラウフ(Auflauf)というパスタグラタンにしたりして、次の日も楽しむ。

5. 日本米といえば「スシライス」だ
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出典: flickr/Michael Rosenstein CC BY-NC-ND 2.0

ドイツにも米を食べる習慣はあり、スーパーにも必ずライスコーナーがある。しかし、そこには、タイ米、インドのバスマティライス、リゾット用の米などは並んでいるが、日本米を見つけることは困難。
日本米に似たものを普通のスーパーで手に入れたければミルクライス用の米(Milchreis)か、日本米代表のような顔をして売られているスペイン産、あるいはアメリカ産などの「スシライス(Sushireis)」という名のカルフォルニア米を買うしかない。

以上は、発売中の書籍『ドイツ夫は牛丼屋の夢を見る』(溝口シュテルツ真帆著、講談社刊)からの一部エピソードをご紹介したもの。ドイツに嫁いだ日本人の妻が、ドイツ1年目の驚きと戸惑いを綴ったエッセイで、中には、知られざるドイツの食の風景がまだまだたくさん。ご興味のある方はぜひ手に取ってみては?