ドイツ、オーストリアでは超メジャーな料理、クネーデルをご存知だろうか。そのシンプルながらも奥深い世界へようこそ!
しばしばスープやグーラッシュ(Gulasch、ドイツ風ビーフシチュー)とともに登場するクネーデル(Knödel)。例えばある地域では肉から作られるのに対し、南チロル地方ではパンからという風に、さまざまな調理法や素材で作られているのが特徴のひとつだ。
まずはこちらの動画をご覧いただこう。
クネーデルの別名は、日本語で「だんご」と訳されるクロース(Kloß)。つまり、クネーデルはいわば「ドイツ&オーストリア風だんご」。……とひとことに言っても、その種類は実に多彩。ここでは代表的な4種をご紹介しよう。
1.カルトッフェルクネーデル(Kartoffelknödel, Kartoffelklöße)
ゆでてつぶしたジャガイモに小麦粉・塩を加え、だんご状に丸め、塩を入れたお湯でぷかりと浮かび上がってくるまでゆでる。

生のすりおろしたジャガイモも使用されることもあり、例えばテューリンゲンではゆでたものと生のものをミックスして作られる。
カルトッフェルクネーデルは、たいてい塩気の強い、グーラッシュスープのような料理に添えられることが多い。驚くほどもっちりとした食感がクセになる。
2.ゼンメルクネーデル(Semmelknödel)
ゼンメルクネーデルは、シュバイネブラーテン(Schweinsbraten、豚のロースト)などの付け合わせとして、南ドイツからオーストリアまで広く食されている。

その名の通り、材料はジャガイモではなく、古くなったゼンメル(Semmeln、丸い小型の白パン)。パンを細かく刻み、温めたミルクに浸してふやかし、塩を加えたお湯でゆでて作られる。通常は刻んだタマネギやパセリも混ぜられる。

ゼンメルクネーデルの一種、ゼルヴィエッテンクネーデル(Serviettenknödel)は、布に包んだ生地をお湯のなかで発酵させて作られる変わり種。

3.グリースクネーデル(Grießknödel)
グリース(Grieß、デュラム小麦を粗びきにしたもの)、ミルク、卵から作られ、主にデザートとして出される。すでにご紹介したクネーデルと異なり、グリースクネーデルはゆでた後にスプーンなどを使って形作られるのが特徴。レシピに応じてナツメグ、レモン、砂糖やバニラなどで香りづけされる。
チェリーやイチゴなどのフルーツとも相性◎。

まれにスープの具として登場することも。

4.ダンプフヌーデルン(Dampfnudeln)
麺類を意味するヌーデル(Nudel)という言葉は、もともとはクネーデルが語源で、ダンプフヌーデルンもクネーデルの一種として数えられる。南ドイツで生まれた粉料理で、「ヘーフェクロース(Hefekloß)」とも呼ばれる。
ダンプフ(Dampf、湯気)の名の通り、生地は蒸した後にさらにそのまま焼き上げられ、底部分はぱりっとしながらも表面はもっちり。

ジャガイモのスープとともに。底面がなんとも香ばしそう。

ダンプフヌーデルン(Dampfnudel)は主菜、デザートの両方として愛され、主菜となる場合は甘めのワインソースやサラダ、キノコ類とともに。デザートとして食べる場合はバニラソースやフルーツなどと一緒に食べられている。
素朴ながらも奥が深いクネーデル。ドイツ・オーストリアへ来たならぜひとも試したい一品です。